SAMPLE ※文章のみですが、18禁
初版:2007年11月3日 スキマフェスティバル内『THE同人誌即売会』
某所投下4部作の加筆修正版+書き下ろし2作
全作(軽めですが)えっちい描写ありです。
取り扱いCP
[古畑×識子][芦茂×識子][物部×識子][植木×識子][岩原所長×江波徹子][落葉巡査×識子]
対象a [落葉巡査×識子]
1
強い西日にうたた寝から目を覚ましました。
そんな休日には、貴方を思い出します。
あの日、私の髪を梳いてくれた貴方は今。
あの頃と同じように、どこかで私を見守ってくれているのでしょうか?
2
「自分は明日、非番なのでアリマス」
所用で出向いた南東京署のロビー。
落葉一郎巡査は、そう言って胸を張った。
どことなく緊張しているようにも見える。
その数メートル後方、廊下の壁に凭れておば様が妙ににこにこしてるのが見える。
……所長が急に「明日は休みを取れ」なんて言うから何があったのかと思えば、あの人の差し金か。
最近、おば様がうちに来ることが増えたと思ったら、このいたいけな若者をけしかける算段を立てていたらしい。
気づかれないようにこっそりとため息を吐き、巡査を見上げる。
正直言って今まで誰かと交際したことはない。
警察一家と言えば聞こえもいいのだけれど、その家庭で育った身にもなってほしい。
学生時代は勝手に「両親はおっかないに違いない」「門限が厳しいのだろう」と決め付けられて(いや、実際に門限は厳しかったのだけれど)周囲が遠慮してしまう。
警察学校では勉強することが多すぎて、悲しいかなそんな余裕はなかった。
上京して一人暮らしすることになっても、そこは築三百年木造建築、庭付き猫付き幽霊付き(憑き?)。
例えば恋人が出来たとして、どーして家に連れて来れるかって話だ。
まあ、落葉さんは誠実そうな人だし。悪い気はしないけど……
「そうですか。それは良かったです」
出来る限りにっこり笑って言ってみたら、落葉さんの顔がなんだか赤くなって。
「それで、できましたらっ!」
そうして彼は、人通りの少なくないロビーで、これ以上ないというほどの注目を浴びながら。
私に翌日の『でぇと』を申し出たのだった。
3
事前におば様から私の好みのレクチャーはばっちり受けていたようで、当日最初に向かったのは映画館。秋というのは、あまり良い映画が少ないものなのだけれど、今年は違った。
今年はなんと、あの伝説のシュナイダー猪場の人生を追った……って、格闘技好きじゃなきゃ面白くないだろうに。
映画館にいた二時間、落葉さんは時折こっちを見ていたらしい。
らしい、と言えるのは……その。映画の時々、私も落葉さんを見ていたからだ。
映画終盤、猪場が生涯をかけて愛した女であり、師匠の妻でもある馬木夫人とのただ一度の逢瀬の場面があった。
『愛しています……例えこのひと時が、罪だったとしても……!』
『馬木は、貴方を許さないでしょう……私のことも、決して』
『奥さん!』
『……抱きしめてください。この一夜を、忘れたくありません』
そして情熱的な、接吻を。
なんとなく気恥ずかしくなって落葉さんを盗み見たら、目が、合ってしまった。
私の、ポップコーンで油っぽい右手を、落葉さんの左手が握り締めて。
彼はさっと身を乗り出してきた。
私は驚きのあまり、されるがままだった。
続きは本文で。